「椅子張り講習会」を終えて
9月7日(日)、8日(月)に開かれた「椅子張り講習会」に参加してきました。参加希望者が多く、1日の定員では収まらず、2日に分けての開催となりました。会の中でも「椅子張り」強い関心を持っている方が多いようです。この椅子の張りというのも機会がければ細部までどうなっているのか、なかなか知ることが出来ませんし、独学、自己流でそれなりの質のものを作るのもとても難しいのではないかと思います。
講師の先生は大阪府南河内郡太子町で張り屋さんを営んでおられるDr.チェアーの平田三千男氏です。今回の課題は、2次曲面成形合板ベースにボーズ張りすることです。まず、堅さと厚みの違う2種のウレタンを合板に貼付けます。
このウレタンも、サンプルを見せて頂きましたが堅さはかなりの種類があり、またその厚みもそれぞれたくさん揃っています。そして、ときには3層にも貼り合わせるというのですから、組み合わせはもう無限…..というのは大袈裟かもしれませんが、要求される場面に応じてそれらを的確に選択し、組み合わせて理想的な答えをだすということは、そう簡単に身につけることができる感覚ではないでしょう。
生地は真っ直ぐに張れているかどうか確認しやすいため、ストライプの入ったものが選択されています。この生地を6ミリのステープルにて止めていきました。数回なら針を引き抜き打ち直すことが可能で、何度か張り直し練習していきます。やはり難しいのは角のrの部分で、余っていく布をどう処理していくかです。
見ているといともたやすく張っていく先生ですが、実際やると当然そういう訳にいかず、まさに「頭で解る」のではなく、「手で覚える」という言葉がふさわしい作業だと思いました。そのように何度かやり直しながら、それなりに張り始めよりはある程度進歩して張り終えました。
講習会では、座面を張るだけでなく、木のフレームがソファになるまでの過程を逐一見ることができるという貴重な経験もできました。ソファの大きさは小振りで子供が座れる程度ではありますが、その構造は大きなものとほぼ変わらなくて、精確かつ手の早い平田さんによりフレームにウレタンや生地が張られていき、みるみるソファに変身してゆく様は、ある種ショー的な要素も持ち合わせた見所のある「感動もの」で皆が感嘆の声を上げていました。さすがに一度工程を通してみたからといって、理想的なソファのフレームを作ることができるわけではありませんが、下地であるフレームの構造がその後の仕事のしやすさ、仕上がりにとても重要であるということがよく分かりました。
今回の講習会、張りそのものも勉強になったのですが、張り屋さんとのコミュニケーションがいかに大切か、出来映えに影響するかというのを痛感した1日でもありました。また、皆に熱心に指導して下さった平田さんは「おまえがその気なら、とことん付き合うぜ」的な、ものづくりにたいする情熱がびしびしと伝わってくる、魅力的でとにかく頼りがいのあるプロ意識のとても高い方でした。また、この講習会を企画して下さった「家具の音楽」の名嘉眞さんにもとても感謝しております。どうもありがとうございました。
講習会の様子がうかがえる
[木の工房]KAKUさんの日記
虹紙製作所/和田英男