木の仕事の会は、木工を生業とする、またはそれを目標とする個人・団体の集まりです。

スクレイパーの勉強会

11月29日に宮本家具工房にて行われた「スクレイパーの勉強会」について報告させていただきます。

尚、本文の内容は宮本さんの許可を得て、HPの内容を転載させていただいております。

◆ スクレイパーについて ◆

先月下旬”木の仕事の会”で呼びかけた木工仲間とスクレイパーについての勉強会を行いました。

今回はプロの木工家を対象にした勉強会でしたので、本当にお役に立てたかどうかわかりませんが、みっちり3時間スクレーパーの刃のつけ方を実習してもらいました。

下の写真今回準備したものです。

白いカバーが付いているスクレイパーは定評がある、0.8mm厚のスウェーデンBAHCO製(LeeVallayToolsから)です。以前はSANDVIK社でしたが今はBAHCOに買収され、名前が変わりました。

左から3番目は、ゼットソウの古い刃を利用した自家製です。

また、中央の刃つけに使うバーニシャーはLeeVallayTools製、その右は超硬ドリルに木の柄をつけた自作、そして日本のノミです。

右のスワンネックのスクレーパーは、今回は使いませんでしたが、普通のスクレーパーの刃をつけることができれば、同様にして刃をつけることができます。

他にミシン油など、滑りをよくする油が必要です、鼻の脂でもいいと書いてある洋書がありました(^^)。

皆さんが持っておられたのは木工通販オフさんで販売されている0.6mm厚のものが多かったです。実際に使うには0.6mmはちょっと薄くて頼りない感じがします。

平面の仕上げには0.8mm~1.0mmの厚さがよいでしょう。

0.6mm以下の薄いものは、少し曲げて使うのに便利で、椅子の座ぐり面の仕上げなどに重宝するのではないでしょうか。

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日本では馴染みのないスクレイパーですが、欧米では「近代の木工で画期的な手道具」と言われるほどよく使われています。

なんとなく、鉄板でかき削るような荒い道具のイメージですが、ちゃんと刃をつければ鉋のような削りくずが出ます。

刃付けの理屈は「まず水平にこすってバリを少し生じさせ、それを垂直よりほんの少し傾けたバーニシャーで折り返す」ですが、実際にはいくつかコツがあって、習得は簡単ではありません。

ホームページでそのコツを紹介するのは困難ですが、以下は当日配布した資料の文章が参考になればいいのですが・・・。

(刃のつけ方)

1、 ヤスリ(荒研ぎに相当)

・古く荒れた部分を落とし、真っ直ぐにする。

・金属用ヤスリよりも荒いダイヤモンド砥石の方がよさそう。

・新品ではこの過程は省略することができる。

2、 砥石

・1000番程度の中砥と仕上砥

・“板”の断面角を完璧な直角にする。

・良質なスクレイパーの新品ではこの過程も省略可。

3、 バーニッシング(刃つけ)

・スクレイパーよりも硬い金属棒やノミの裏を使う。

・水平にバリを出し、それを折り曲げる感じ(下図)。

・少量の油をつけて行う(鼻の脂でも可?)。

・数回は1と2の過程を省き、3のみでよいが、それでも切れなくなったら、(1)、2、3を行う。

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(使い方)

・垂直から少し傾け、木に“ひっかかり”を感じる角度で使う。(寝かせすぎない)

・押すよりも引く方がよい。軽く使う。

・“粉”ではなく小さな“鉋屑”がでるのが正しい。

今回皆さんの刃付け作業を見て感じたことは次のようなことでした。

・バーニシャーを傾け過ぎる。—-バリが出ないばかりか、面取りになって逆効果。

・力を入れすぎない。—–”パンにバターを塗り広げる感じ”という例えがあります。

・前段階の”断面を完璧な直角にしておく”作業ができていない。—–中砥と仕上砥で刃研ぎの要領で下準備

・バーニシャーはスクレイパーより硬い金属であること—-参加された斉田さんのブログに体験談があります。

ちゃんと刃がつけば、写真のように粉ではなく鉋屑がでます。そして、あまり重くはありません。

スクレイパーの角度も70度~80度くらいで切れるのがよく、寝かしすぎると刃を早くダメにします。

押しても引いても使えますが、材の表面を軽く削るには引く方がよく、特定の部分を、凹んでもよいから、削る場合は、押す方がよいです。
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私はデンマークからアメリカに移った木工家”TageFrid”氏の方法、ノミの裏側を使って刃をつけていますが、広く知られている方法は丸い鋼の棒のバーニシャーを使う方法です。

写真は参加されたYさんが持ってこられたドイツ製バーニッシャーとスクレイパー。

ノミではなく丸棒の方が、小さく鋭い刃がつくという方もおられました。

人それぞれの力の入れ方や好みで、ノミか丸棒、どちらかを選べばよいでしょう。
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勉強会ではカード型に加え、刃先を約45度に研ぎ、その刃を曲げるように刃をつけ、台にセットして削る、キャビネットスクレイパーも試してもらいました。

よく切れるキャビネットスクレイパーで削ると全く鉋屑と変わりません(下写真)。
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スクレイパーはさか目の起きやすい複雑な木目の木はもちろん、鉋では削ることができない小さな部材や組み立ててから鉋をかけていない部分を発見した時や、小さく凹んだ曲面などにも有効です。

サンドペーパーをかける前に、スクレイパーが使えれば、能率があがります。

刃のつけ方を習得するのは簡単ではありませんが、あきらめずに練習していると「ある日突然刃がつくようになる」と書いてある洋書がありました。がんばってみてください。

カテゴリー: 2012年度事業 — 谷本 @ 22:48:21 2012/11/30 金曜日

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