『座る』勉強会のレポート
先日開催された『座る』勉強会のレポートを
今回、場所の提供、企画もして下さった城森さんが書いて下さいました。
・・『座る』勉強会レポート・・
3月22日(日)にブリコラージュにて『座る』勉強会を開催しました。
今回講師を務めてくださったのは、(有)テクノエイドスペースの森下先生
森下弘幸 昭和28年7月、神戸生まれ。現在芦屋市在住。
甲南大学、明治東洋医学院卒業。
福祉用具メーカー勤務を経て平成10年テクノエイドスペースを設立、現在代表取締役。その他、福祉用具関連企業の顧問を兼務。
大阪府・兵庫県・滋賀県・京都府・奈良県・三重県でホームヘルパー1級・2級、看護師、理学療法士、作業療法士など医療・介護専門職員の研修を実施。また、上記の地域で病院・高齢者介護施設で職員研修の講師を務める。おもな講義内容は「自律支援のための福祉用具選び」「高齢者の座位保持」「褥瘡(床ずれ)予防のための用具」「安全で快適な移乗動作」など。
というプロフィールで、今回は高齢者の座位保持ということで講義してくださいました。
高齢者の座位保持といっても我々若い世代にも共通する点は多く、人はどこの部分で体を支えているのか
ということが基本となってくるとのことでした。
それは骨盤の坐骨と呼ばれるわずか10から12センチの骨で、重たい頭を坐骨の二点で支えているということでした。
いままで何気なく座るという行為をしてきましたが、わずかこの二点だけで体を支えているとは驚きました。
椅子作りの一つのポイントとしては、この坐骨をいかに保持できるかが第一歩だと思いました。
それと合わせて、座った状態で足がちゃんと付くかどうかも大きなポイントであるとおっしゃっていました。
例として、もし膝から下がない状態だったとしたら、地面を踏ん張ることができずバランスを崩してこけてしまうということでした。
若ければ筋力で保持することは出来ますが、高齢になると筋力の衰えもあるのでそうはいかないということでした。
適切な座面高さを設計することで、脚がきちんと地面に付くように心がけることが大切と分かりました。
正しく座るためにはどうするか?この正しく座るというのが大切なんでしょうね。高齢者のように自力で座り方を変えれない方には、正しく座らせてあげる、
そして我々作り手は、正しく座れるイス作りを目指すことが大切なんでしょうね。
実際に会場にはドイツ製の車椅子と日本製の車椅子を持参してくださり、その違いをじっくりと説明してくださいました。
ドイツ製のものは、座る人の体に合わせて微妙な調節ができ、最適な座りができるのに対し、
日本製のものは無駄に大きく微調整機能もなく、脚もフットレストにつかないようなものでした。
実際に座り比べてみるとなるほどその違いが良く分かりました。
ちなみに日本のJIS企画の車椅子はベトナム戦争時にアメリカが戦地に送るために作った折りたたみの車椅子を参考にしたもので、
軽く、コンパクトに輸送できるを目的とした、座ることに関しては全くとは言いませんが考えられていないものだそうです。
なぜそれが?と疑問に思いますが、東京オリンピック開催に伴い自国に車椅子がないということで、
ただ単に 『アメリカで一番たくさん売れていたもの=良いもの』 を参考に作ろうという発想からだそうです。(なんじゃそりゃ!)
とまぁ、色々と人間が座るとはどういうことかいうことについて二時間も通しで話していただきました。
森下先生ありがとうございました。
最後に面白いクイズを出してくださいました。
新聞に車いすと書く場合はどの字が正しいでしょうか?というものでした。
車椅子
車イス
車いす
答えは 車いす その理由として今まで日本の常用漢字に椅子という漢字がなかったということだそうです=日本にはいすの文化がない
日本人がいすに座りだしたのは、ここ50年のことでいすに対する考え方がまだまだ浅いとのことでした。
西欧の2000年を超える椅子文化には足元にも及びませんが、追いつけ追い越せの精神でよりよい椅子作りをしていきたいですね。
まだまだ自分の中では内容が整理しきれておりませんが、今後初めてのイス制作を開始する予定の僕にとって、
今回の勉強会の意味が制作を通して一つ一つ理解していけることだろうと思います。
以上、城森さんのレポート。
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