6月17日(月) 木工機械メンテナンス勉強会が開催されました。
木の仕事の会の中井木工さんの工房で開催されました。
今回勉強会で主に指導して頂いたのは、自動一面カンナ盤と手押しカンナ盤についてでした。
まずは自動一面カンナ盤
木を削って悩まされるのがハナオチです。その主な原因はどこにあるのかというと
定盤のガタつきにあるそうです。下の写真に見られるように定盤を固定しているカミソリ部分のボルト調整です。ここに遊びがありすぎると材料の通り始めや抜け切る時に定盤が傾いてハナオチを起こしてしまうとのことでした。
ではどのようにして調整していくのかというと、機械を製造するときには必ず基準となる面を設けているので、そこに合わせるように定盤の調整を行うとのこと。
下の写真のように『ストレートエッジ』を使用して定盤の傾きをチェック!ストレートエッジは松井精密の物を使用されていました。

中井木工さん所有の自動カンナは上の蓋を開けた時の本体の上端だそうです。中古機械だと、ここにもべったり塗料が塗られていたりするので、その時は塗料を落とすことが必要です。中井さんも塗料を削り落としたそうです。
前後の傾きはカミソリ部分のボルトを締め込んだり、緩めたりして調整。手で締めて止まるくらいの強さなので、スパナなどで締め込みすぎると故障の原因になるそうだ。
一箇所ずつ順に調整していきます。私の工房の自動はボルトが3本でした。メーカーによって作りが違うので一概にこうだとは言えないですが、基本は同じとのこと。
ボルトが前後4箇所のものもあれば、片側はボルトがなくどちらか一方で調整するものもあるみたいです。これまた私の工房のものは3箇所と違っていました。
左右の調整は定盤下の支えているボルトの上下で調整するそうです。
こちらの写真は、私の工房のものですが、多分基本構造はどこも一緒なのではないでしょうか。
上の写真からも分かるかと思いますが、左はボルト3本なのに対し、右はボルトがないです。もしかしたら、メモリのプレートを止めているボルトがその用途を兼ねているかもしれませんが、わかりません。
調整の基本は下から上へという順番でやっていくそうです。定盤が決まれば、次はローラーの調整、押さえの調整をしていきます。


二本の同じ厚みの角材を使い左右のローラーの調整をします。
ざっとこんな感じです。
ここまでで、かなりの時間費やしてました。聞きたいことはたくさんあリますが、次の手押しカンナ盤へ
手押しカンナ盤にも種類があり、今回はスライド式で講義していただきました。
当工房にはスライド式のものがあるので、よかったです。他にはくさび式とリンク式というものがあるみたいです。
手押しカンナ盤は自動に比べるとまだわかりやすいのかなと思います。
こちらもまず定盤の状態をチェック
手前の定盤は削る厚みを調整したりするので動かすことが多いので調整は奥の定盤で。
手前の定盤を基準にねじれや水平度をチェックし、奥の定盤のスライドして稼働する部分にかまし物をして調整します。何を使うといいかという参考で下に写真載せておきます。
刃口部分の微妙な調整は定盤を削って調整。中井さんは平面の出ているダイヤモンド砥石で調整されたそうです。ごくわずかの場合なので勘違いしないように。
極端にひどい場合は機械屋さんに出してフライス加工で平面を出してもらってからの調整するほうが望ましいです。
定盤の水平度は写真のように目で透かしてみて前後の定盤に写る景色が歪んでいなければOKということでした。もちろん刃口部分をストレートエッジで確認してから目で見るんですが。
長尺のストレートエッジなどを持っていればそれで見ればいいのですが、かなりの高価なものなので個人工房では現実的ではないですね。
工場出荷時での機械加工の制度の問題や鋳物なので多少経年変化していたり、使用頻度が高く摩耗して減っていることもあります(中古機械の場合)ので単純にはいかなさそうですが、どこを調整すればベストになるか考えて行くことが大事だと思いました。

フィラーテープという商品名でいろんな厚みがあるようです。
一日あっという間に終わってしまいました。
中井さんと勉強会の企画をしてくれた齋田さんに感謝です。それと齋田さんお世話になっているヨシダ機械さんも当日来てくださっていて補足の説明などをしていただきとても充実した勉強会となりました。
ありがとうございました!
おまけですが…
途中シリコーンスプレーの話になりヨシダ機械さんがちょうど持ってこられていた、塗装に影響しないものということで教えていただきました。
齋田さんのブログ